ステイホームを合言葉に、日常生活のあり方が大きく変化した2020~2021年。2019年までの統計と併せて検証すると見えてくる、人々の余暇の過ごし方が大きく変わるであろうポスト・ステイホームの日本の姿は?

 

2019年の余暇の過ごし方の参加人口の統計によると、前年と変わらず不動の順位となった上位5位、上から国内旅行、デスティネーションとしての外食、読書、ドライブ、映画。全国民の3割~5割がこの上位5つのそれぞれの余暇活動に参加していて、その人気ぶりはもはや不動のものに。

 

しかし上位5位以外に目を向けてみると、意外な余暇活動がランクを上げていたり、年齢別に見ると見えてくるさらに際立った特徴も。

 

そんな統計の数字から、ポスト・ステイホームの日本のエンターテイメント文化を支える余暇活動は何か?充実した時間の過ごし方を求めるつきない興味を満たしてくれるものは見つかるのか?!

 

ここ数年順位を上げている意外なエンタメの今後

 

2018年、2019年、2020年とエンタメとしての参加人口の上昇を記録しじわりじわりと順位を上げてきている意外な余暇活動、それが「宝くじ」。一人または少人数でも楽しめるウォーキング、園芸、カードゲームなどとともにステイホームの時期に順位を上げ、2020年には13位にランクイン。

 

2019年には8,000億円を超える売上を記録した宝くじ、もともと根強い人気のあったパチンコが斜陽しさらにステイホームで自粛された中、日本で一攫千金の夢を見させてくれる国民的娯楽であるなか、動画配信のようなステイホームの流れはいかに?

 

この答えとなるのが、最近露出の多くなってきたカジノ 日本の出現。今までは海外旅行でしか楽しめなかったカジノのオンライン化は遡ること2000年代当初から進んでいたものの、本格的な流行は2010年代当初のゲームのオンライン化を待つことに。そしてステイホームの流れが強まった2020前後に大きく参加者を獲得したオンラインカジノ、今ではそのサービスは140サイト程度が確認されるまでに成長。

 

番号抽選式のロッタリーはつまり海外式の宝くじ。これに加え、ランドカジノで遊べるスロットマシンやテーブルゲームなどを揃えるのがオンラインカジノ。オンラインでルールに関する情報も豊富に揃っていて必要な情報はすべてインターネットから手に入るのがオンラインカジノのもう一つの利点。

海外旅行もある程度制限されることが予想されるポスト・ステイホームの数年間、ますますオンライン参加人口が増えることが予想できる。オンラインゲームとして楽しめることもあり参加の敷居も低く、これまで経験したことのない人にとっても新たなエンタメの一つとなる可能性が大きいと言える。

 

「外出」と「ステイホーム」の狭間にあるエンターテイメント

 

2020年以降、多くの企業が自宅勤務を採用し、遠隔会議ソフトウェアやリモートでも業務対応可能なクラウド環境の成熟にもより、多くの人が気づいたのが「意外になんとかなってしまう」こと。これまで自宅の外で人が集まらなければ成立しなかったと思われることですら、場合によっては不自由なく済んでしまうことも。

 

ポスト・ステイホームの時代には、エンターテイメント文化も変革を遂げると思われる中、統計数字から見て「外出」と「ステイホーム」の狭間にあるエンタメ、それが映画と動画を含む映像系エンタメと言える。

 

前出の統計によれば、2019年の余暇活動5位の映画に加え、2018年からランクを上げてきた動画鑑賞が8位にランクイン。さらに2020年の余暇活動の統計によれば、動画鑑賞は飛び抜けて1位に、映画は8位に。劇的な社会変化により大きく順位が触れたものの、ステイホームの中それでも映画が8位に入ったことが示すのはやはり強い映像系のエンターテイメントの底力。

 

ショッピングモールなどの複合施設での外食やウィンドウショッピングも根強い人気がある中、こうした施設を中心に映画館のスクリーン数も20年前の全国約2,500スクリーンと比べ2020年でほぼ1.5倍と順調な成長を見せているのが映画産業。さらに、大衆消費的な映画というよりは、エッジの利いた作品を小規模に公開するミニシアターの存在も映画の根強い人気を示す重要な根拠。ミニシアターは映画鑑賞人口の約6%程度に利用されていると言われる中、今後の映画文化を支える一つの柱となっていくことが期待される。

 

動画配信も破竹の勢いで、2015年の市場規模1,410億円から2019年には2,770億円と倍増し、さらに2020年の数字は4,000億円に近づくものに。

 

映画よりも動画のほうが勢いがある中、ポスト・ステイホームでは若干のリバランスの発生が予想できるものの今後4~5年でどちらかに偏る傾向が見られるはず。